フリーでの指名にせよヘルプでテーブルにつくにせよ、トークを展開する前にホストがまずやるべきことは、相手のテンションを掴み、自分のテンションを同じ温度にすること!
お客さまの気持ちが盛りあがっていてアゲアゲで入ったほうがいいのか、それとも静かに、場に溶け込むように入ったほうがいいのか、スタートダッシュはとても重要。お客さまに、「この人ノリが違うな……」と敬遠させる気持ちを抱かせてしまったら、その遅れを取り戻すのは至難の業。挽回するにはものすごく労力を要します。
「一期一会」が当たりまえのホストの世界では、お客さまは「この人は違くて合わなそうだけど、ほかのひとにすればいいか!」と考えてしまいます。ファースト・インプレッションはとても重要! 「かっこよさ」「爽やかさ」「明るさ」「元気さ」を第一印象として植え付けるよりもまず、「お客さまと自分のテンションを同じにする」ことを心がけましょう!
相手の話をしっかり聞くことも、ホストの仕事のひとつですが、接客が始まってしばらくは、ホストのほうから多く話しかけることを意識してください。
接客のうえでの最終的なゴールは、「お客さまが自分のことを自由に話せるくらい、ホストに心を開いた状態にすること」。そのためにも、接客開始時は、ホストがお客さまにどんどん話題を振ることがマストです。
具体的にはどんな話題がいいのか。それは、「相手に対する質問」です!
質問することのメリットは、相手から返答を引きだすことで、会話が途切れにくいということ。そしてそれ以上に有益なのは、相手をよく知ることができるから。
とくに、「なぜ」を聴きこむように心がけてください! 「なんでこの店に来たの?」「どうして彼氏と別れたの?」「なぜこのブランドの服が好きなの?」——重要なのは、この「なぜ」の部分。
「なぜ(=質問に対する理由)」を尋ねることで、お客さまそれぞれの「プライベートの事情」や「性格」「個性」を引き出すことができます。
あらゆるお客さまは、「自分の話を聞いてほしい」「自分のことを知ってほしい」「自分の存在を肯定してほしい」という潜在的な欲求をもって来店します。その欲求を満たしてあげるためには、ホストが「なぜ」の質問を重ねることで、相手に「自分の事情」や「自分の個性」を語らせる機会を与えることがカギ!
「ホスト:なぜ?」「客:◯◯だから」の会話を重ねることで、お客さまはだんだん自発的に自分のことを話すようになりーーこれこそ、お客さまがホストに心を開きつつある証です。
お客さまがおしゃべりになってきたら気をつけることは、相手の話に上っ面の相槌で返さず、ホストの意見や見解を交えて返答すること。ここが、ホストそれぞれの個性が光るポイントです!
お客さまはホストに対して、「どうせわたしの話を聞いてくれるのも営業のうちなんでしょ」という、マイナスのイメージを抱いているもの。そんなホストが適当な相槌や同意で返答すれば、隠したつもりの「営業意識」が、お客さまには即座にバレてしまいます。
お客さまの話を肯定しつつ、「適当な相槌を打っているだけだ」と思わせないために、自分の意見を交えて返答するようにしましょう。すると会話のキャッチボールが成りたち、自然と会話が弾みます。ときには褒め言葉を交えると、お客さまのテンションはアップ!お客さまに、「この人は、私のことをわかってくれる」「わたしのことを肯定してくれる」と思わせることが大切。
そして、お客さまはホストに、「非日常」「現実の世界ではありえない世界」を求めています。だから、ホストはその期待に応えてとにかくカッコつけることがマスト!
スキンシップもいいですね。積極的な姿勢をキープして、お客さまに「わたし、このホストに好かれてる!」と思わせましょう。
「売り上げ欲しいから指名して」がホストの本音ではありますが、「あなたが好きで会いたいから、指名して」と思わせる。そのためには、「愛しているよ」「ずっとそばにいるから」などなど、日常ではありえないような「クサいセリフ」をときおり囁くのも有効です。
ただし、営業っぽくならないようにご注意! 先に述べたとおり、「ホストなんて、だれにでも同じセリフを言ってるんでしょ」を身構える女の子に、「クサいセリフ」を伝えるのは難しいもの。あらためてセリフを囁くのではなく、会話の流れのなかでさらっと言えると、効果大ですよ♪
いかがでしたか? ①お客さまと同じテンションでテーブルにつき、②相手を「なぜ」の質問攻めにして、③ときには褒め言葉やクサいセリフを交えながら、④ホストの主観を交えながら返答するーー即実践可能なこの4つのポイント、ぜひぜひお試しください!